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現代の貧困や分断についての、潜入ルポ。今の世界の主要産業を牛耳るビジネスは、不運や偶然のせいで、その仕事しか選べない人々を「搾取」することでなりたっていることを、読者と臨場感を共有することで明らかにしようとする、伝統的な手法。
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介護士の時間かつかつすぎて、利用者に「〜ないですよね?」って不可疑問文で聞いちゃう下りが辛すぎるが、普通にあるあるなんだと思う。
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イギリス国内の話だったが、日本でも同様に格差が広がっていると思う。
イギリスほど移民が多くは無いが、この本に登場するポーランド人のような、ベトナム人等の外国人と、日本人の中でも悲惨な状況での労働が放置されていると思った。
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世界的企業での潜入ルポ。
内容としては、徹底したコスト管理の上で、世間的弱者にあたる移民をゼロ時間契約で搾取するなど、差し詰め現代版の奴隷のような図式にも捉えられる内容が赤裸々に語られていた。
そして本著は「人生とは、必然的にどちらか一方が他方の上に立とうとする、拮抗する力のあいだのせめぎ合いなのだ」と、締めくくられた。
最後のこのフレーズ、なんかすごい考えさせられるなー。
確かに、人生って常に選択の繰り返しだよね。だけど出来れば第三者の思惑の中で上下の優位を決めるような選択ではなく、一個人の想いの中で並列に選択できる環境でありたいよねって、自問自答してみる。
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潜入ルポ。
イギリスの話しとはいえ、読むのがしんどくなるほどの劣悪な労働者環境と格差社会。
移民問題など、なぜEU離脱の流れになっていったのかもなんとなく理解できる。
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英国のamazon倉庫やウーバーで働いたルポライターの実録記。炭鉱だったり工場が無くなった土地にamazonが鳴り物入りで進出して土地から離れられない住民を低賃金労働で酷使する。自由な働き方に見えるウーバーもポイントや失効を武器に、ドライバーたちを常に駆り立て管理しつつも責任だけを逃れるという脱法的な仕組み。
それでも移民によって低賃金労働ですら奪い合いになり、英国下層民は貧困に沈んでいく。日本は現状まだマシなのかもしれんが、人口激減するなかでもっと酷いことになるのやもしれんな。
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2024年9月14日読了。イギリスの元鉱山街などに建てられたアマゾンの倉庫やコールセンター、介護職やウーバーのドライバーなどの「ギグワーカー」を自ら体験したライターによるルポ。アマゾンやウーバーのような「テクノロジーにより課題を解決し自らの収益を拡大・顧客価値を最大化する」巨大IT企業のビジネスが格差社会と結びついた果てが、古くからの住民が移民労働者を敵視し、移民労働者は「ゼロ時間契約」による不安定な生活・搾取される賃金に甘んじて日々生きるのに精いっぱい、というこの世界なのか…しかもこれは「果て」ではなく現在も進行中・世界の格差は広がり続けており自分もGAFAのサービス利用によりこの現象に加担している、と考えると恐ろしすぎる…EUがいかに規制を激しくしようとも、資本主義のルールにのっとり戦っている企業らや現実を変えられるとは思えない。少数の資本家が生き残り低賃金の労働者は絶滅し機械に置き換えられる、未来はそんな姿しかありえないのかもしれない。
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邦題があまりにクソ過ぎない?
内容としては「貧困の経済学」をもっと身近に感じられるよう、先進国の貧困層にスポットを当てて書いている形。横田増生「仁義なき宅配」のイギリス版といったところか。しかし読むだけでも地獄のような職場の連続でよく精神が保てたものだとちょっと感心する(コールセンターは明らかに楽だったみたいだが)。
こういう労働環境に問題意識は持ちつつも、結局何かしらのサービスを使わずにはいられないし、自身の人生選択ではなるべくこういう道は避けようという感情が多分に働くのも事実。良心と偽善の狭間で何を思うかは読者の社会階層次第とも言え、中々に評価が難しい。こういう世界があると知れるだけでも良しとすべきかもしれない。
しかしこれだけは声を大にして言いたい。このひど過ぎる邦題どうにかならなかったの?
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昔、いろんなことがあって自己肯定感がめちゃくちゃ低くて「自分には真っ当な仕事なんて出来ない」と思い込んでた時期があって某家電量販店の倉庫で働いてたことがあるんだけど、その頃のことを思い出した。
もちろんここで出てくるようなイギリスのアマゾンの倉庫に比べれば、まだ人権は守られてたんだけど、それでも「ああ、もう俺は一生ここから這い上がれないんだな」という閉塞感は似ていると思った。
昨日、トランプが大統領に返り咲いたのも、きっとこんな誰にも注目されないまま生き地獄の中に蠢く人たちの怒りが噴出したのではないかと感じた。
ここに出てくる人たちがイギリス人の全てではないけど、でも確実に実在する。日本もいつそうなっておかしくない。(現に先日もアマゾンの物流倉庫が千葉にできるニュースを見た)
本当に時代がどんどん効率化を求める中で効率とは別のところにある人生の豊かさが無価値だと判断され捨てられていくのがあまりに切ない。そしてその波にいつか自分も飲まれるかと思うと恐怖しかない。
この流れには徹底して抗わねばならぬと思いました。
ただ本の中身については、知りたいこと以外にもかなり余計な話も多くて読みやすいとは言い難かったな、と。
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イギリス人ジャーナリストの著者が、移民や労働者階級の仕事の現場に、身元を隠して潜入し、その仕事の実態や、なぜこういう境遇で働かないといけないといけなくなってしまったのか、という社会や経済の構造を分析したもの。タイトルになっているアマゾンとウーバー(タクシー)以外に、訪問介護、コールセンターという4つの現場の様子が紹介されている。
「私が発見したことの多くは、世界でもっとも裕福な国のひとつであるイギリスで起きているとは思えないほどひどいもの」(p.12)とはじめに書かれているが、全くその通りだと思った。もっと遠い昔の、発展途上の国とか、共産圏とか、そういう場所で起きたこと、というならともかく、現代の先進国の、しかも個人的にはおれがこの夏に仕事で言ったイングランドのミッドランズ地方でこういうことが起きている、というのがショッキングだった。「きっと多くの人は、私が書いた本を読むのではなく、"本物の労働者階級の声"を聞きたいと考えているはずだ。(略)事実として、労働者階級の著述家はほとんど存在しない。なぜか?労働者階級の仕事が、本や記事を書き上げるために必要とされる種類の生活とは相容れないものだからだ。根本的なレベルにおいて、椅子に坐って黙々と8万の単語を紡ぎ出すためには、電気が止められたり、空腹に喘いだりする心配をしなくていいという前提条件が必要になる。」(p.14)という、確かにその通りだと思った。タイトルだけしか見てない時点ではてっきり日本の話かと思ったし、正直イギリスの話より日本の話の方が知りたいと思ったけど、そもそもこういう本が目につくような感じで売られているってあんまりないことだし、それはもっともだと思った。とすると、それこそ著者が「アマゾンのウェブサイトでiPhoneの充電ケーブルやアデルのCDアルバムをクリックして買うとき、倉庫のそんな状況を想像している人がいるだろうか?」(p.72)とか書いている通り、日本のアマゾンやウーバーでも同じようなことが起こっているのか、と考えてしまうが、どうなんだろう。
あとはいくつか印象的だったところを取り出して、感想。この本でよく出てくる働き方は「ゼロ時間契約」(p.32)という、「週当たりの労働時間の取り決めがない」契約で、つまり仕事がないときには給料も払いません、という契約。単発のバイトや芸人の営業?じゃあるまいし…。しかもこれで恣意的に仕事量が操作されて、クビにしたければ仕事はないことにする、って本当に悪質だなと思った。そういう悪質な事例がいくつも出てきて、ただただ搾取されるだけの人たちの話、という感じが全体的にする。
昔炭鉱で栄えた、という点が共通しているらしいが、「斜陽産業の仕事は、高い技術を必要としないルーティーン化された仕事に置き換えられた。紡績工場はコールセンターに変わり、造船所は配送用倉庫に変わった」(p.89)というのが分かりやすい産業の変化の描写だった。データ的には、「ここ数十年のあいだの英国敬愛は、高技能職よりも低技能職をより速いペースで創り出してきた。1996年から2008年のあいだにイギリスから消えた中技能職を10とすると、およそ4.5が高技能職に置き換えられた一方で、5.5は低技能職に変わった。このような状況において、専門職への梯子を上ることを約束されたはずの多くの学生が、大学というガラス張りの"夢に満ちた生産ライン"から借金の山と共に飛び出したときにこう気がつくことになる。その梯子は外されてしまい、いちばん上の空間は一流大学の卒業生ですでに埋め尽くされている。」(p.216)ということになっている。そして、「単純労働による身体的・感情的な消耗を、何かで補う必要に迫られる(タバコ、酒、ジャンクフードなどが残された数少ない喜び)。」(p.97)という、そして体を壊して仕事ができなくなるという悪循環に加えて、雇用者の都合で無駄な時間だけはどんどん増えていきお金もかかるという負の連鎖+その上に成り立つ中流階級、みたいな構図が生々しい。この「何かで補う必要性」、「増加する無駄な時間」は、体験してみないと分からないことで、説得力があった。
あとはイギリス人についてルーマニア人の移民が言ったこと、「イギリス人は親切にしようとはするけど、それは本心じゃない。あの人たちは友だちを作ろうとしない。みんなとても静かだ。それでも、にこりと笑って親切にしようとする。でも、ほんとうはそうじゃない。ぼくたちとどう接すればいいのか、イギリス人はきっとわからないんだろうな。」(p.108)という、これはアジア人のおれもこの感触には覚えがあるなと思った。でもこれってイギリス人だけじゃなくて、日本人も含めて都市部だったらなおさらみんなそうなんじゃないかな、と思う。
あとは時間に追われる訪問介護の話とか、これって介護したことになんのか、って感じだけど、超高齢化と介護士不足の状況は日本だって深刻なはずだから、もしかしたら日本だったらもっとひどいのがあったりして、とか思うと、全然知らない世界の話だなと思う。
そして、この単純労働させて搾取するアマゾンと、コールセンターの感じが気持ち悪い。確かに、海外ってこういうのあるよな、と思う。それを真似して日本にもあるのかもしれないけど。例えば「倉庫」ではなく「フルフィルメント」と呼ぶ、従業員は「アソシエイト」と呼ぶ(p.30)、壁には「ベズという名の等身大のパネルの女性は、『仕事に来ることが大好きで、ここにいないと寂しくなるくらいです!』」(p.29)と言う、コールセンターでは「前向きさと偽の明るさの集中砲火」(p.219)を浴びて、「お楽しみ会をする」(p.229)など。「オフィスのあらゆるところに、歯の浮くようなフレーズが書かれた小物が置いて」(p.228)あり、「『心を落ち着けてワインを飲もう』(略)。こうした思考を停止させるカンフル剤のような言葉は近年、とくに感染力の強い病のように社会に浸透している。そのようなフレーズは、特定の標的を狙って大量生産された苦痛緩和剤にほかならない。宗教はもはやイギリスの若者の心をつかむことはほとんどないとしても、その運命論の一部は消費者資本主義によって巧みに盗用されてきた。もちろん、『人生はクソだから酔っ払おう!』というのも悪いモットーではない。しかし、そもそも飲みに出かけるときに自分のポケットにお金がいくら入っているのかを誰か他の人が決めるとき、それは適切な生き方とは言えない。この種のスローガンは根本的に、思考停止のための呼びか��であり、解放を装った運命論の孤島への安易な撤退を意味するものでしかない。」(同)とか、長く引用してしまったが、ここを英文解釈の問題かなんかに出したいくらいだな、と思うくらい共感した。あとは、ウーバーの「ギグ・エコノミー」というのも「ゼロ時間契約」と同じくらいキーワードになっているが、これも初めて聞いた。聞こえはいいけど、全然そんな感じじゃない、という仕組みも分かった。需要以上の供給をすることに意味がある、という「ただ立って待っているだけの者も役に立っている」(p.331)というのはモノは言いようだけど、「しかし個々のドライバーは、街の至るところでただ車を走らせているときには事実上損していた。そのあいだ、ウーバーは何も失っていなかった。」(p.331)というところがポイントなのだと思う。
最後に、こういう状況になってしまった背景として、進歩的な思考、保守的な左派、というのが出てきて、正直おれにはイギリスの社会や産業や経済や政治の構造や歴史についてはよく分からなかったのだけど、これの日本の場合がどうなっているんだろうか、と常に思ってしまう本だった。(24/11/05)
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著者がAmazon倉庫、介護、コールセンター、Uber(タクシーのほう)の低賃金労働を体験した記録
その日暮らしで人間として扱われないこともある過酷な暮らしが印象に残った。
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イギリスの事情がわからないのですが、このような状況になりかねないのが今の日本かもしれないと思いました。
淡々と体験談が書かれてていて、読みづらく序盤で読むのをやめました。
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第二章 訪問介護 Care Watch UK p.125 ”成人向けの社会福祉の分野では、仕事のおよそ4分の1がゼロ時間契約によるものだった” 注5 P. 378 skills for care workforce intelligence and innovation
2016年データ ⇒雇用権法でどのような実態把握、対処法が盛り込まれているのか?